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サンゴの調査モニタリング ~美しい西表島の海を守っていくために~
大変久しぶりの更新となりますが、本年もどうぞよろしくお願い致します。
今日はこの冬一番の寒さのようですね。 この時期の西表島も、沖縄といえど気温は下がります。
いわゆる「西高東低の気圧配置」で東京が氷点下となるくらいの日にはこちらも最低気温は15℃を切ることもあります。
数字上では「15℃もあるんでしょ~!?」と思われがちなのですが、北風ビュービューの15℃なので、体感的にはかなり寒く感じます。 あとは「沖縄」という油断もあり、余計に寒く感じるのでもありますが・・・。
さて、そんな北風ビュービューな時期は海も大時化なので、ゲストさんと「優雅な南国の海」とはいかなく、海に出るとすると「調査や保全活動」が多くなり、一昨日はサンゴの調査に行ってきました。
調査は定期的に行っており、サンゴの種類や分布状況を知るのに役立ちます。 調査するのは普段から頻繁に潜っているポイントも多々あるのですが、普段はゲストさんと安全第一に配慮しながらのダイビングであって、我々ガイドの目はゲストさんの安全であったり、見せるお魚を探すことであったります。
ですので「調査目的」として潜ってみると、「こんなサンゴがあったのか」等、意外にも新しい発見もあるもので面白いものです。
サンゴを簡単に分けますと・・・
枝状のサンゴ
テーブル状のサンゴ
覆うタイプのサンゴ
塊りのサンゴ
葉状サンゴ
ワラジのようなサンゴ
更に昨年は、サンゴの白化現象がクローズアップされた年でもあり、白化状況の調査も行っています。
高い海水温度状態が長く続くと起こり、「サンゴの病気」というとわかりやすいです。
夏場になると強い太陽でどうしても海水温度は上がってしまうのですが、夏場にそれを軽減してくれるのは「台風」なのです。その台風、昨年の発生数自体は「26」とまあまああったのですが、26のうち八重山地方に直撃した台風は「ゼロ」でした。
9月に入り、ギリギリ暴風域に入った台風もあったのですが、その後も直撃はなく、なにせ7月~8月の中でほぼ無かったことが高い海水温状態の要因で、サンゴに悪影響を及ぼしてしまいました。
今は海水温は25℃ほどに下がり、サンゴの白化もほぼおさまってきているのですが、まだ100%おさまっているとは言えないようで、今回の調査でも、一部ですが白化の残るサンゴや、同じ性質を持つイソギンチャクにも白化が見られました。
イソギンチャクの白化は、皮肉にもクマノミの美しい体色を引き立てるようにも見えますが、本来の元気な色に早く戻ってほしいものです。
調査はまた今後も行っていき、美しい西表島の海の保持保全に役立てばと思っています。
タグ: 西表島サンゴ礁保全活動オニヒトデ退治
西表島サンゴ礁保全活動 ~オニヒトデ退治~
西表島の美しい海を守る為に定期的に行われているこの活動ですが、冬場は海も時化てしまう為になかなか行えず、今日も明日からの時化の前にと隊長の計画で行われました。お客様からよく、「保全活動ってどんなことを行っているの?」という質問を受けるので、今日は活動の内容をちょっとお教えしたいと思います。
西表島の海は大変美しく、サンゴは生き生きしています。 サンゴは主に「光合成」で生きますが、西表島は人口開発が少なく、海に赤土が流れ出さないので、サンゴに土が被って光合成できなくなるという事はありません。
人口も少ないので、生活排水等の被害もとっても少ないですし、船自体も少ないので、船の排気や船を係留するためのアンカーによるダメージ等も限られます。
また西表島の海は魚影も大変濃く、皆さん癒しの「熱帯魚」も豊富なのですが、それは生きたサンゴが豊富だからと言えます。生きてるサンゴは熱帯魚の「住みかであり餌場」であるからです。
可愛らしい熱帯魚はサンゴの隙間で敵から身を守り、中サイズの魚が狙い、さらに大きな魚も集まるという「食物連鎖」もあって魚影が濃くなります。
そしてカラフルなサンゴは西表島に遊びにお越しいただくゲストさんの癒しでもあります。
このようにたくさんの理由からサンゴはいつまでも美しくあって欲しいのですが、サンゴには人的以外にも敵がいまして、一番の敵と言いますと「オニヒトデ」です。 オニヒトデはサンゴを食べてしまいます。先ほども述べましたようにサンゴが食べられて死んでしまうと、海から魚は減ってしまいますので、漁師さんも魚を食べる我々も困ります。
サンゴが死んでしまうということは「カラフルさや熱帯魚」も失う事になりますので、海が大好きな皆さんの癒しの世界も失われてしまいます。
等など、様々な理由からサンゴは美しく保全される必要があると思います。 そこ我々が定期的に行っているのが、サンゴ礁保全のための「オニヒトデ退治」なのです。 (とはいえ、オニヒトデも全て居なくなればいいというわけでもありません。ただ「大発生」は避けなければなりませんで、その対策でもあります)
前置きが長かったですが、オニヒトデの退治の様子をご覧下さい。
作業はスキューバダイビングで行います。シュノーケリングでは退治できる水深に限りがありますし危険も伴います。
まずオニヒトデが居そうな場所を探さなければならないのですが、ある程度の予測を「サンゴの色」で判断できます。 漂白されたような真っ白くなってしまったサンゴは、オニヒトデにの被害に合った直後の可能性が高いので、そのようなサンゴを探します。
ただ基本的にオニヒトデは「夜行性」なので、いきなり目に見えるところで「見つけた!」とはいかず、大きなサンゴの裏側や隙間に隠れているのを探し事からなので、なかなか大変な作業でもあります。このオニヒトデもテーブルサンゴの下に隠れていました。
見つけたら駆除に入ります。駆除の方法は様々ですが今組合で行っているのは「酢酸注入」です。マヨネーズの空き容器に入れた薄めた酢酸は、ホースから先端の注射針へつながっています。
ただサンゴの奥深くにいるオニヒトデには、注射針が届かないこともあるので、その時は「ひっかき棒」で引き出します。
固体の大きさにもよりますが、4分割した各場所から数回注入します。 でも注入にも注意が必要で、針が体を通過していると意味ありませんので、細い体にうまく差し込み注入しなければなりません。
更になんといっても、我々人間にとっても「毒」ですから固体に触らないうに注意が必要です。
こうして地道に探していく水中での作業です。 水中での動きに我々は慣れていますが、サンゴの森の中では足場もありませんし、時には流れやうねりもある中で60分程潜っていますと寒さとの戦いにもなり、船に上がる頃は結構気力も体力も消耗していまう作業なのです。
今日は西表島の西側・奥西表の崎山での作業でした。想像していたよりもあいにくの空模様で風もビュービューの悪コンディションでしたが、組合員9名で3ダイブ行い、みんなで協力したおかげで作業もなかなか捗りました。 ダイビングには時間制限もあり、体力も使う事ですので一気には進まない作業ですが、この先も地道に続けていくことで、きっと成果がある活動と思っています。
どうも大変さばかりアピールしてしまいましたが、例え「オニヒトデ退治」でも海はやっぱりいいです! とっても気持ちよく綺麗で癒されます。魚が大好きな私、いつまでも美味しい刺身も食べたいです! そして遠い西表島まで遊びにお越し頂く皆さんにいつまでもこの美しい海をお届けする為にも、これからも作業もがんばりたいと思います!
西表島の美しい海がいつまでもあり続けますように願いたいです。
タグ: 西表島サンゴ礁保全活動オニヒトデ退治