八重山でサンゴの白化現象はなぜ起きた? その3 ~今年の課題~
高い復活率で我々を安心させてくれたエリアのサンゴも、白化したサンゴが多かったのは事実です。
白化は人間でいうところの「病気」のようなことです。見た目は回復していても実は弱っているサンゴも多いはずなのです。
今現在で回復しているサンゴも、もしまた今年の夏に同じような異常な海水温上昇が起こり、白化に至ってしまったとしたら、次の復活はない可能性もあるのです。
ただサンゴの為に台風直撃を望んでいるわけではありません。
なぜかというと、昨年夏の白化でサンゴ自体が骨格的にも弱っているとしたら、台風直撃の高波等に耐えることができない可能性も考えられます。 「もろくなっている」可能性もあるという事です。
以上の事から、今年の夏は慎重です。 今年の夏時期は異常な海水温上昇を避けなければならず、その方法としての台風はあまり大きな被害をもたらすような直撃台風ではよくないということです。
あともう一つ、我々人間にとってもです。
普段から過酷なお仕事や難しい勉強をがんばっているみなさんは、貴重なお休みに旅行を計画し、癒しや非日常を求めて八重山の美しい海にお越しになるわけで、台風によって旅行が中止になったら残念で仕方ないはずです。
また現地の我々は皆さんを仕事としてご案内することで生活できるわけで、台風直撃で仕事ができなくなるのも困るわけです。
都合のいい話と思いながら言わせてもらいますと・・・・・・
【適度な勢力の台風が、適度な数だけ、適度なコース(かする程度)を通過し、程度に海水温を下げてくれる】
もちろんこれは八重山に限ったことではなく、サンゴの生息する地球上の海にそうであってほしいと願います。
自然界に無くてはならないサンゴ礁の為にも、地球で生きていく我々人間の為にも。
美しい海が末永くいつまでもあり続けることを願います。
(※サンゴの白化については様々な意見や考え方があり、今回の記述はあくまで私個人的な見解ですのでご了承くださいませ。)
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八重山でサンゴの白化現象はなぜ起きた? その2 ~もう一つの原因~
~~もう一つの原因~~
台風の進路だけではなく、ニュースで取り上げられた原因「地球温暖化による海水温度上昇」もその原因の一つと言えると思うのです。
地球温暖化により海水温度も昔に比べて上がっています。平均的に昔の方が海水温度が低いわけですから、もし昔に今年と同じように台風の直撃が無く、海水温度が上がってしまった年があったとしても、白化につながる異常な温度までは上がらなかったことも考えられます。
また、昨年はエルニーニョ現象も起こった年でした。
エルニーニョ現象と地球温暖化は関係もあるようで、台風第1号の発生が遅かったことはこのエルニーニョ現象の影響とも考えられています。
もし6月辺りにでも台風が発生し、一度くらいは八重山に直撃でもしいていれば、夏を迎える前に海水温度は下がっていたでしょうから、7・8月に直撃がなかったとしても異常な高温を避けられたかもしれなかったからです。(ただ6月の台風の進路が八重山を通りやすいかというと、そのような確たるデータも無いので、この話は「たられば」ではありますが。)
地球温暖化は紛れもなく「人的原因」ですから、言い換えれば我々人間がサンゴを白化させてしまったとも考えられるのです。
原因は他にもあるかもしれないのですが、いづれにしても昨年のサンゴ礁白化は、近年稀にみる大白化となってしまいました。
西表島と石垣島の間には日本最大のサンゴ礁域である「石西礁湖」が広がり、西表島も東側の一部は石西礁湖に含まれます。
この「石西礁湖」は最近ニュースでもよく取り上げられるのですが、なんと90%程のサンゴが白化し、そのうちの70%が復活できずに死滅に至ったという報告もあります。
当然西表島のサンゴも同じようなダメージを受けたと思われる方が多いと思います。
まずもってニュースや新聞でも「石垣島と西表島の間にある石西礁湖」と聞けば、西表島全体が石西礁湖に含まれると思われてしまっても仕方ありませんが、実はそうでもないのです。
上記の様に西表島の東側一部は石西礁湖に含まれるのですが、西表島の「北側から西側」は石西礁湖に含まれないのです。
そしてこの北側から西側の海が凄いのです。「復活力」が凄いのです。
正直、北側も西側も白化率は高く、ポイントによっては90%近く白化し、そのまま死滅に至ってしまった海域も一部あるのですが、復活した海域の方が圧倒的に多かったのがこの冬の調査でわかりました。
とりわけ、西側の最南西部「崎山」では復活率70%以上と、驚くほどの復活を見せてくれました。
復活の要因は多々あると思うのですが、復活率の高いエリアに共通していえるのが「透明度の高さ・外洋に面したアウターリーフ・潮流・人的要因の無さ」であると考えています。
西表島の西側は広大な外洋・東シナ海に面します。島のリーフから沖へ向かえば果てしなく広がる海で水の汚れる原因はありません。
北側の鳩間島との間には浅深複雑な地形、西側のリアス式地形は潮流を生む要因でもあり、潮流は常に新鮮な水をもたらします。
更に崎山近辺は人も住まない手つかずで、生活排水が流れ出ること等一切ない自然そのままの海です。
このような条件が整った場所だからこそ、高い復活率を見せてくれたのだと考えています。
ただ復活率が高かったことで万事OKだったという訳でもありません。
その3へ続く
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八重山でサンゴの白化現象はなぜ起きた? その1 ~昨年夏を振り返ると~
3月に入りましたが、内地のニュースを聞いていますとまだまだ寒い日が多いようですね。 こちら西表島もこの時期は辛い時期・・・。北風が強くて海は荒れる日が多く、太陽もちょっと寂しい季節・・・。 暑い夏が待ち遠しいですね!
さて冬時期の今はダイビング組合の活動として「サンゴ礁保全活動」に力を入れています。
保全活動とは、例えばサンゴの種類や生息割合を調べるモニタリング調査や、サンゴの天敵である「オニヒトデ」の駆除活動などがあるのですが、この冬に行った保全活動は「白化調査」が主な活動となってしまいました。
ニュースでご存知の方も多いと思いますが、八重山諸島近海では昨年夏の海水温上昇で大規模な「サンゴの白化現象」が起こってしまいました。 私が頻繁に利用している水域のサンゴ礁も多くが白化してしまいました。
~~なぜ大規模な白化現象が起こってしまったのか~~
今回の白化現象は、八重山地方への「台風直撃」が無かったことが一番の原因だと私は考えています。
「台風直撃」とは、旅行でお越しの皆様・我々住民にとっても、とーーーーっても憂鬱で避けたい事なのですが、自然界にとっては必要不可欠な事でもあります。
台風が直撃するとその規模にもよりますが、夏の太陽で水温の上がりやすい浅場から、水温の低い深場の海水もかき混ぜてくれるため、浅場の海水温度はグッと下がります。
時には3~4℃程も下がります。 5年程前の8月前半だったと記憶していますが、台風前には裸で泳いでいたのに、台風明け3日後のシュノーケリングでウエットスーツが必要だった「冷たさ」をよく覚えています。8月というのにビックリしました。
夏場はやはり、強い太陽と南風の影響で、海水温は高くなりますが、異常に高い海水温を避けていれば、海は通常状態を保つことができるので、サンゴ礁が白化することもないという事になります。ちなみに例年の夏の水温は30度前後です。台風が来れば28℃程まで下がり、また太陽で水温が上がっても、次の台風でまた下がる。この繰り返しがあるのが通常の夏です。
しかし昨年夏は30℃が2か月程続いてしまいました。 リーフ上の浅場では31℃を超える場所もありまして、雨も無いためこの異常な高水温が続いてしまったのです。
つまり、もし昨年夏にいくつかの台風が直撃して海水温度も例年通りだったら、サンゴの白化は起こらなかったと考えているのです。
~~なぜ台風が直撃しなかったのか~~
直撃しなかたということは、台風自体の数が少なかったのかと思いきや、昨年も台風自体は25個と例年並みに発生しています。(一年の平均25.6個)
また台風の発生自体が記録的に遅く、第1号発生が7月頭だったのですが、その後8月までに11個発生していることを考えれば、台風自体はそこそこ発生していたので、昨年が特別異常気象だったとは言えないと思います。
しかも、7・8月辺りに発生する台風は八重山付近を通過しやすいと言われています。11個の発生があったにも関わらず、八重山に直撃する台風がなかった・・・。
つまり昨年は「たまたま台風が八重山を直撃する進路を取らなかった年」ということになり、その為にサンゴが白化してしまったと言えると思うのです。
ちなみに台風の直撃とは「暴風域」に入ることと考えていいと思うのですが、台風の暴風域は大きいものでは「直径400km」という台風もあります。石垣港ー西表上原港間の距離が40km弱なので、石垣の東から西表の西まで、東西で50~60km程と考えても、とっても小さな八重山諸島です。
直径400kmの暴風域の中に入ることは簡単に起こりそうに思えますが、去年はたまたまそれが無かった年と言ってもいいと思うのです。
台風の進路を操ることはできないので、昨年はサンゴにとっては「自然界の偶然によって不運だった」のですが、では原因がそれだけだったかというとそうでもないように思います。
その2へ続く
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