八重山でサンゴの白化現象はなぜ起きた? その2 ~もう一つの原因~
~~もう一つの原因~~
台風の進路だけではなく、ニュースで取り上げられた原因「地球温暖化による海水温度上昇」もその原因の一つと言えると思うのです。
地球温暖化により海水温度も昔に比べて上がっています。平均的に昔の方が海水温度が低いわけですから、もし昔に今年と同じように台風の直撃が無く、海水温度が上がってしまった年があったとしても、白化につながる異常な温度までは上がらなかったことも考えられます。
また、昨年はエルニーニョ現象も起こった年でした。
エルニーニョ現象と地球温暖化は関係もあるようで、台風第1号の発生が遅かったことはこのエルニーニョ現象の影響とも考えられています。
もし6月辺りにでも台風が発生し、一度くらいは八重山に直撃でもしいていれば、夏を迎える前に海水温度は下がっていたでしょうから、7・8月に直撃がなかったとしても異常な高温を避けられたかもしれなかったからです。(ただ6月の台風の進路が八重山を通りやすいかというと、そのような確たるデータも無いので、この話は「たられば」ではありますが。)
地球温暖化は紛れもなく「人的原因」ですから、言い換えれば我々人間がサンゴを白化させてしまったとも考えられるのです。
原因は他にもあるかもしれないのですが、いづれにしても昨年のサンゴ礁白化は、近年稀にみる大白化となってしまいました。
西表島と石垣島の間には日本最大のサンゴ礁域である「石西礁湖」が広がり、西表島も東側の一部は石西礁湖に含まれます。
この「石西礁湖」は最近ニュースでもよく取り上げられるのですが、なんと90%程のサンゴが白化し、そのうちの70%が復活できずに死滅に至ったという報告もあります。
当然西表島のサンゴも同じようなダメージを受けたと思われる方が多いと思います。
まずもってニュースや新聞でも「石垣島と西表島の間にある石西礁湖」と聞けば、西表島全体が石西礁湖に含まれると思われてしまっても仕方ありませんが、実はそうでもないのです。
上記の様に西表島の東側一部は石西礁湖に含まれるのですが、西表島の「北側から西側」は石西礁湖に含まれないのです。
そしてこの北側から西側の海が凄いのです。「復活力」が凄いのです。
正直、北側も西側も白化率は高く、ポイントによっては90%近く白化し、そのまま死滅に至ってしまった海域も一部あるのですが、復活した海域の方が圧倒的に多かったのがこの冬の調査でわかりました。
とりわけ、西側の最南西部「崎山」では復活率70%以上と、驚くほどの復活を見せてくれました。
復活の要因は多々あると思うのですが、復活率の高いエリアに共通していえるのが「透明度の高さ・外洋に面したアウターリーフ・潮流・人的要因の無さ」であると考えています。
西表島の西側は広大な外洋・東シナ海に面します。島のリーフから沖へ向かえば果てしなく広がる海で水の汚れる原因はありません。
北側の鳩間島との間には浅深複雑な地形、西側のリアス式地形は潮流を生む要因でもあり、潮流は常に新鮮な水をもたらします。
更に崎山近辺は人も住まない手つかずで、生活排水が流れ出ること等一切ない自然そのままの海です。
このような条件が整った場所だからこそ、高い復活率を見せてくれたのだと考えています。
ただ復活率が高かったことで万事OKだったという訳でもありません。
その3へ続く
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